育児・介護と両立しながら正当な評価を得るには:成果を可視化しキャリアを停滞させないヒント
育児や介護と仕事を両立されている皆様の中には、「限られた時間で成果を出しているのに、正当に評価されているか不安」「このままではキャリアが停滞してしまうのではないか」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
働き方や勤務時間が変化することで、これまでの評価基準がそのまま当てはまらないと感じたり、自身の貢献が見えにくくなったりすることは、両立者にとって共通の課題の一つです。しかし、両立しながらも成果を適切に評価され、キャリアを継続・発展させることは十分に可能です。
この記事では、育児・介護と両立しながら正当な評価を得るための具体的なヒントや、両立者の活躍を後押しする企業の評価に関する取り組みについてご紹介します。
なぜ両立中に評価への不安が生じやすいのか
育児や介護が必要になると、突発的な休暇が増えたり、時短勤務を選択したりするなど、働き方が大きく変わることがあります。物理的にオフィスにいる時間が減ったり、会議に出席できない場面が増えたりすることで、「職場への貢献度が下がった」と感じたり、あるいは実際に周囲からそう見られているのではないかと不安になったりすることが、評価への懸念に繋がります。
また、以前と同じ業務量をこなすことが難しくなり、業務範囲が変更・縮小されるケースもあります。これにより、自身のスキルや経験を十分に活かせないと感じ、キャリアの停滞を感じることもあります。
しかし、重要なのは働く時間や場所ではなく、どのような成果を出したか、組織にどのような貢献をしたかです。両立中であっても、限られた時間の中で質の高い仕事をし、チームに貢献することは十分に可能です。その貢献を適切に「見える化」し、周囲に伝えることが、正当な評価を得るための第一歩となります。
正当な評価を得るための実践的なヒント
両立しながら成果を正当に評価されるためには、いくつかの具体的な行動が有効です。
1. 自身の成果・貢献を「見える化」する
最も重要なのは、自身がどのような成果を上げたのかを明確に記録し、伝えることです。
- 目標設定の確認と共有: チームや上司と連携し、両立という状況を踏まえた上で、達成すべき目標を明確に設定します。目標が曖昧だと、後から成果を評価しにくくなります。
- 日々の業務における成果記録: 単に「〇〇のタスクを完了した」だけでなく、「〇〇を改善した結果、××の効率が△△%向上した」「新しい提案により顧客満足度が□□%向上した」のように、具体的な数値や事例を用いて成果を記録します。
- ポジティブな情報発信: 定期的なミーティングや報告会などで、自身の担当業務の進捗だけでなく、そこで生まれた良い結果や工夫、チームへの貢献についても積極的に共有します。
2. 限られた時間でパフォーマンスを最大化する
時間の制約がある中で成果を出すためには、効率的な働き方を追求することが不可欠です。
- 優先順位付けの徹底: 業務の重要度と緊急度を判断し、最もインパクトが大きいタスクに集中します。
- 集中できる環境の整備: 短時間で高い集中力を発揮できるよう、周囲に協力を仰いだり、工夫を凝らしたりします。
- デッドラインとタスク分解: 大きなタスクは細かく分解し、それぞれに小さなデッドラインを設けることで、計画的に進め、遅延リスクを減らします。
3. 上司や同僚との建設的なコミュニケーション
評価は一方的に下されるものではなく、日頃のコミュニケーションが大きく影響します。
- 期待値のすり合わせ: 上司と定期的に面談を行い、自身の働き方に関する現状や課題、キャリアの意向について正直に伝えます。上司が期待する役割や成果について確認し、双方の認識を一致させることが重要です。
- フィードバックの活用: 評価面談だけでなく、日頃から上司や同僚にフィードバックを求め、改善点や良かった点を把握し、次の行動に活かします。
- チームへの貢献意識: 自身の業務だけでなく、チーム全体の目標達成に貢献する姿勢を見せることも評価に繋がります。できる範囲で他のメンバーをサポートしたり、情報共有を積極的に行ったりします。
4. 制度を最大限に活用する
会社に存在する育児・介護に関する両立支援制度は、単なる福利厚生ではなく、両立しながら働くためのツールです。時短勤務やフレックスタイム、在宅勤務などを自身の状況に合わせて効果的に活用し、パフォーマンスを発揮できる働き方を実現します。制度を利用することに引け目を感じる必要はありません。
両立者の評価に関する企業の取り組み事例
両立者が安心して働き、正当に評価されるためには、企業の制度や文化も重要です。両立支援に積極的な企業では、以下のような取り組みが見られます。
- 成果を重視する評価制度: 時間ではなく、個々の業務における成果や貢献度をより重視する評価制度(ジョブ型雇用やOKRなど)を導入する企業が増えています。これにより、時短勤務でも高い成果を出せば、それが正当に評価されやすくなります。
- 柔軟な働き方を前提とした評価基準: 在宅勤務やフレックスタイムなど多様な働き方を前提とし、それぞれの働き方に合わせた評価基準や目標設定方法を設ける企業もあります。
- 評価者研修の実施: 上司が、育児・介護中の社員に対する無意識の偏見を持たず、公平かつ適切に評価できるよう、評価者向けの研修を実施する企業もあります。
- 定期的なキャリア面談: 両立中の社員に対し、定期的にキャリアに関する面談の機会を設け、本人の意向や不安を把握し、今後の働き方やキャリアパスについて共に考える機会を提供します。
- 360度評価の導入: 上司だけでなく、同僚や部下など複数の視点から評価を行うことで、多角的に貢献度を把握し、より公平な評価を目指す企業もあります。
これらの企業の取り組みは、両立者が働きやすくなるだけでなく、組織全体の生産性向上や多様な人材の定着にも繋がります。ご自身の会社でどのような制度や文化があるのかを確認し、必要であれば人事部門などに相談してみることも有効です。
まとめ
育児・介護と仕事の両立は、働く時間や場所に制約をもたらすことがあります。しかし、それは必ずしもキャリアの停滞を意味するものではありません。自身の成果や貢献を積極的に可視化し、限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮し、周囲との良好なコミュニケーションを築くことで、両立しながらも正当な評価を得ることが可能です。
また、両立支援に積極的な企業の評価制度や取り組みは、皆さんのキャリア継続・発展を力強く後押ししてくれます。利用できる制度や社内のサポートを積極的に活用し、自信を持って日々の業務に取り組んでいただければと思います。
両立中の評価に関する不安は、一人で抱え込まず、職場の相談窓口や信頼できる上司・同僚に相談することも大切です。この記事が、皆さんの両立における評価への向き方の一助となれば幸いです。