育児休業からの仕事復帰をスムーズにするには:準備、利用できる制度、職場で心掛けること
育児休業を終え、いよいよ仕事復帰を迎えるにあたり、期待とともに様々な不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。子供との生活リズムの変化、仕事と育児の両立、職場への順応など、乗り越えるべき壁があるように感じることもあるでしょう。
しかし、適切な準備を行い、利用できる制度を理解し、周囲と連携することで、復帰後の両立をよりスムーズに進めることは十分に可能です。ここでは、育児休業からの仕事復帰に向けて確認しておきたいポイントをご紹介します。
復帰前に確認・準備しておきたいこと
仕事復帰を控えた期間は、慌ただしく過ぎていくものです。復帰後に焦らないためにも、事前の準備を計画的に進めておくことが大切です。
1. 会社とのコミュニケーション
休業期間中も、会社からのお知らせや制度変更について定期的に情報収集しておくことが望ましいです。そして、復帰時期が近づいてきたら、直属の上司や人事担当者と具体的に連絡を取り合いましょう。
- 復帰予定日の確認: 会社の規定やご自身の状況に合わせて、正確な復帰日を確認します。
- 働き方について: 時短勤務制度やフレックスタイム制度、リモートワークなど、復帰後の働き方について希望や相談事項を伝えます。会社の制度としてどのような選択肢があるのか確認し、自身の状況に合った働き方を検討します。
- 担当業務について: 休業前と比べて、どのような業務を担当することになるのか、引き継ぎが必要な業務はあるかなどを確認します。復帰後の業務内容や役割について、不安な点は事前に解消しておくようにしましょう。
- 職場環境の変化: 休業中に部署の異動や人員配置の変更があったかなど、職場環境について確認しておくと、復帰後の戸惑いを減らせます。
2. 利用できる社内・社外制度の確認
ご自身の会社には、育児に関するどのような制度があるか改めて確認しましょう。法定の制度はもちろん、会社独自の制度が用意されている場合もあります。
- 育児休業からの復帰に関する制度: 時短勤務、フレックスタイム、子の看護休暇、介護休暇(家族の介護が必要になった場合)などの利用条件や手続き方法を確認します。
- 保育施設や学童: 会社の提携する保育施設があるか、利用の条件はどうかなどを確認します。
- 両立支援制度全般: 会社によっては、両立支援に関する研修や相談窓口を設けている場合もあります。
3. 育児と家事の体制づくり
仕事復帰後の生活を具体的にイメージし、育児と家事の分担やサポート体制を検討します。
- 家族との分担: パートナーと家事や育児の役割分担について具体的に話し合います。朝の準備、送迎、夕食、お風呂、寝かしつけなど、お互いの勤務状況に合わせて無理のない分担計画を立てましょう。
- 外部サービスの検討: 必要に応じて、病児保育、ファミリーサポート、ベビーシッター、家事代行サービスなどの利用を検討します。どのようなサービスがあるか情報収集し、いざというときにすぐに利用できるよう、登録や情報収集をしておくと安心です。
- 緊急時の対応: 子供が急病になった場合など、緊急時に誰が対応するのか、事前に家族や信頼できる人に相談しておきましょう。
4. 生活リズムの調整
復帰後の仕事と育児を両立するためには、生活リズムを整えることが重要です。
- 子供の生活リズム: 復帰後の送迎時間に合わせて、子供の起床時間や就寝時間を少しずつ調整します。
- 自身の体調管理: 復帰に向けて体調を整え、睡眠時間を確保するよう努めます。
復帰後の働き方と利用できる主な制度
育児休業から復帰した方が利用できる主な制度には、以下のようなものがあります。
- 時短勤務制度(短時間勤務制度): 3歳未満の子供を養育する従業員は、1日の労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度を利用することができます。会社によっては、対象となる子供の年齢を広げたり、より柔軟な時間設定を可能にしている場合もあります。
- 子の看護休暇: 小学校就学前の子を養育する従業員は、子供が病気や怪我をした際などに、年に5日(子が2人以上の場合は10日)を上限として、時間単位または日単位で休暇を取得することができます。
- 所定外労働の制限: 小学校就学前の子を養育する従業員は、事業主に請求することで、所定労働時間を超えて労働させないよう求めることができます。
- 深夜業の制限: 小学校就学前の子を養育する従業員は、事業主に請求することで、午後10時から午前5時までの時間帯に労働させないよう求めることができます。
- 法定外の企業独自の制度: 企業によっては、法定を上回る看護休暇日数、子のイベント参加のための休暇、テレワーク制度、ベビーシッター費用の補助など、独自の支援制度を設けている場合があります。会社の就業規則やイントラネットなどで確認してみましょう。
これらの制度を自身の状況に合わせて適切に活用することで、育児と仕事の負担を軽減し、両立を継続しやすくなります。
職場で心掛けておきたいこと
スムーズな仕事復帰と良好な職場関係を築くためには、いくつかの点を心掛けることが大切です。
- 感謝の気持ちを伝える: 休業中に業務をカバーしてくれた同僚や、両立をサポートしてくれる上司や同僚に対して、感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう。
- 状況を共有する: 自身の仕事の状況や、可能なこと・難しいことなどを、必要に応じて上司や関係者に共有します。オープンなコミュニケーションを心がけることで、職場の理解を得やすくなります。
- 報連相(報告・連絡・相談)を密にする: 業務の進捗状況や困りごとなど、こまめに報告・連絡・相談を行うことで、誤解を防ぎ、スムーズな連携につながります。特に時短勤務の場合は、限られた時間で効率的に業務を進めるためにも重要です。
- 仕事の優先順位付けと効率化: 復帰直後は、以前と同じように全ての業務をこなすのが難しい場合もあります。業務に優先順位をつけ、効率的な進め方を意識しましょう。周囲の協力を得ることも検討します。
- 完璧を目指しすぎない: 復帰後すぐに完璧な両立を目指す必要はありません。体力的にも精神的にも負担がかかりやすい時期ですから、無理をせず、少しずつ新しい生活に慣れていくことを意識しましょう。
もしもの時に役立つ育児サービス
子供の急な発熱などで仕事を休まざるを得ない状況は、両立中の親にとって大きな課題の一つです。このような「もしも」の時に備え、外部の育児サービスについて情報を持っておくと安心につながります。
- 病児保育: 子供が病気で集団保育が難しい場合に、専門の施設や保育士が一時的に預かってくれるサービスです。自治体や民間の事業者が提供しています。
- ファミリーサポートセンター: 地域において育児の援助を受けたい方と行いたい方が会員となり、育児の相互援助活動を行うサービスです。病児・病後児の預かりや、保育施設への送迎なども依頼できる場合があります。
- ベビーシッター: 自宅などで子供の世話を依頼できるサービスです。急な残業や出張、体調不良時などに利用できます。
- 一時預かり保育: 認可保育園などで、保護者の就労や病気、冠婚葬祭などで一時的に子供を預かってくれるサービスです。リフレッシュ目的で利用できる場合もあります。
これらのサービスを事前に調べ、利用登録が必要な場合は済ませておくと、いざという時に慌てず対応できます。
まとめ
育児休業からの仕事復帰は、働き方や生活スタイルを再構築する重要な機会です。事前の準備、利用できる制度の確認と活用、そして職場の同僚との円滑なコミュニケーションを心掛けることが、スムーズな両立の鍵となります。全てを完璧にこなそうと気負いすぎず、周囲のサポートも得ながら、ご自身のペースで仕事と育児の両立を進めていってください。この情報が、皆様の復帰後の安心につながる一助となれば幸いです。