育児と仕事の両立を助ける外部サービスの種類と賢い活用法:病児保育から家事支援まで
育児と仕事の両立は、限られた時間をやりくりしながら、予測不能な出来事にも対応していく日々の連続です。特に、お子さんの体調不良や保育園・学童の急な休園、行事など、予期せぬ事態が発生した際に、どう対応するかは大きな課題となります。ご自身の休暇取得が難しい場合や、パートナーや家族のサポートが十分に得られない状況もあるかもしれません。
こうした中で、外部のサービスを賢く活用することは、育児と仕事を両立させていく上で非常に有効な手段となります。今回は、育児をサポートする様々な外部サービスの種類と、それぞれの特徴、そして賢く活用するためのヒントについてご紹介します。
育児と仕事の両立を支える主な外部サービスの種類
育児関連の外部サービスには、緊急時のサポートから日常的な負担軽減まで、様々なタイプがあります。ご自身の状況や必要に応じて、適切なサービスを選択することが大切です。
1. 病児保育サービス
お子さんが病気にかかり、集団保育が利用できない場合に、代わりに一時的に預かってもらえるサービスです。働く親御さんが仕事を休めない場合に非常に助かります。
- 特徴: 看護師や保育士などの専門スタッフが、病気のお子さんの状態に合わせてケアを行います。医療機関に併設されている施設や、保育施設に併設されているタイプ、訪問型などがあります。
- 利用シーン: お子さんが発熱や感染症にかかり、自宅で看病する必要があるものの、どうしても仕事を休めない、重要な会議や商談があるといった緊急時。
- 探し方・注意点: 自治体のホームページや、地域の病児保育に関する情報サイトで施設を探せます。登録が必要な場合が多く、利用枠に限りがあるため、事前に情報を集め、登録手続きを済ませておくことが推奨されます。利用料金や受け入れ可能な病気の種類は施設によって異なります。
2. ファミリーサポートセンター
地域において、育児の援助を受けたい人(依頼会員)と行いたい人(提供会員)が会員となり、育児の相互援助活動を行う有償のサービスです。主に自治体が運営しています。
- 特徴: 会員登録制で、地域住民同士の相互援助が基本です。援助内容は多岐にわたり、保育園・学童への送迎、習い事への送迎、保護者の短時間外出中の預かりなどが可能です。提供会員は地域の育児経験者などが研修を受けて登録しています。
- 利用シーン: 保育園・学童のお迎えが間に合わない、習い事への送迎、短時間だけ子供を預けて通院や買い物に行きたい、といった比較的短時間のサポートが必要な場合。
- 探し方・注意点: お住まいの市区町村の社会福祉協議会や子育て支援担当部署が運営しています。事前に会員登録説明会への参加が必要な場合が多いです。利用日時や内容、提供会員とのマッチングには調整が必要な場合があります。
3. ベビーシッター
家庭に訪問し、お子さんの保育を行うサービスです。時間や場所に融通が利きやすく、自宅で子供を見てもらえる安心感があります。
- 特徴: 個別に対応してもらえるため、お子さんの状況や要望に合わせて柔軟に利用できます。病気のお子さんを見てもらえる場合や、送迎、簡単な家事など、事業所によって提供されるサービス内容が異なります。個人契約と事業所経由の利用があります。
- 利用シーン: 残業で迎えが遅くなる、夫婦で外出したい、急な出張や会議、お子さんが軽症で自宅で看病が必要な場合など。
- 探し方・注意点: 多くのベビーシッター事業所があります。インターネットで検索し、料金体系、提供サービス内容、シッターの経験・資格、補償制度などを確認して選ぶことが重要です。内閣府のベビーシッター割引券や、企業の福利厚生として利用できる場合もあります。
4. 一時預かり保育・学童保育
通常の定期利用ではない、一時的な預かりサービスです。保育園や学童保育で実施されています。
- 特徴: 普段通っている保育園や学童とは別に、一時的に預けられる制度です。利用目的(保護者の就労、病気、冠婚葬祭、リフレッシュなど)によって利用条件が異なります。
- 利用シーン: パートタイムの就労、求職活動、通院、冠婚葬祭、育児のリフレッシュなど、決まった曜日・時間ではないが一時的に預けたい場合。
- 探し方・注意点: 自治体や地域の保育施設、学童保育で実施されています。利用可能な施設、条件、料金、予約方法などを事前に確認が必要です。予約が取りにくい場合もあります。
5. 家事代行・宅配サービス
育児そのものではありませんが、家事負担を軽減することで、仕事と育児に充てる時間を確保できるサービスです。
- 特徴: 掃除、洗濯、料理、買い物など、日常の家事をプロに依頼できます。定期利用や単発利用など、様々なプランがあります。食材宅配サービスやミールキットなども、買い物や献立作成、調理の手間を省くのに役立ちます。
- 利用シーン: 仕事で帰宅が遅くなり家事をする時間がない、週末にまとめて家事をこなす負担を減らしたい、料理の手間を省きたい、といった日常的な家事負担の軽減。
- 探し方・注意点: 家事代行サービスは多くの事業所があります。料金体系やサービス内容、スタッフの質、保険などを比較検討しましょう。宅配サービスは、利用頻度や品揃え、価格などを比較して選びます。
外部サービスを賢く活用するためのヒント
これらの外部サービスを効果的に活用するためには、いくつかのポイントがあります。
1. 事前の情報収集と登録
いざという時に慌てないよう、普段から利用しそうなサービスについて情報収集しておきましょう。特に病児保育やファミリーサポートは、事前の登録が必要な場合が多く、利用したい時にすぐに利用できないことがあります。料金体系や予約方法なども確認しておくと安心です。
2. 費用補助制度の活用
外部サービスの利用には費用がかかりますが、自治体や企業が費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。
- 自治体の補助: 病児保育やベビーシッター、一時預かりなどの利用料に対して、所得に応じた助成を行っている自治体があります。お住まいの市区町村のホームページや子育て支援窓口で確認してください。
- 企業の補助: 企業によっては、ベビーシッター利用券の配布や、福利厚生サービスを通じて家事代行や病児保育の割引を提供している場合があります。勤務先の総務部や福利厚生担当部署に確認してみましょう。
- 国の割引券: 内閣府が特定のベビーシッター事業者を対象とした割引券を発行しています。要件を満たせば利用可能です。
これらの制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。
3. 職場への共有と連携
利用するサービスの形態(例: 病児保育利用のため欠勤ではないが外出する、ベビーシッター利用で自宅勤務を継続するなど)によっては、事前に職場に伝えておくと、急な状況でもスムーズに連携を取りやすくなります。どのようなサービスを利用し得るのか、普段から上司や同僚と情報共有しておくことも、職場の理解を得る上で役立ちます。
4. 複数のサービスを組み合わせる視点
一つのサービスで全てを解決しようとせず、必要に応じて複数のサービスを組み合わせることも有効です。例えば、子供の病気で病児保育が利用できなかった場合に備えて、ベビーシッターの病児対応可能なサービスも登録しておく、といった準備をしておくと安心感が増します。
まとめ
育児と仕事の両立は、一人で抱え込まず、利用できる制度やサービスを上手に頼ることが持続可能な働き方に繋がります。今回ご紹介した外部サービスは、忙しい日常や予期せぬ事態が発生した際に、ご自身とご家族をサポートしてくれる心強い味方となり得ます。
これらのサービスを利用することに罪悪感を感じる必要はありません。外部サービスを上手に活用し、心身の負担を減らすことは、結果として仕事のパフォーマンス維持や、お子さんとの時間をより豊かに過ごすことにも繋がります。まずは、ご自身の状況に合わせて、どのようなサービスが利用できるのか、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。完璧を目指すのではなく、「頼る勇気」を持って、両立を乗り越えていきましょう。